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2007年8月17日 (金)

南の島に雪が降る(2)

「雪を見せてくれないか」

上層部からの依頼だった。

南の島は片道切符

生きて帰りたいとは、けして声には出せない

見たこともない植物、ムダにデカく日本ではありえない

狂暴な虫。

そして、日本で体験したことのない暑さ

片道?ならば投下作戦で使われた

アレはいらないハズ。

そう、白い布ならあるじゃないか。

パラシュートだ。

物語は『雪』を作るために興奮する芝居小屋と

『雪』を見るために弱った部下を連れて小屋をめざす

部隊の2つの視点で描かれる。

そして、2つの線が重なった。

「内地に突撃~」

部下はタンカで芝居小屋に入った。

「内地だ、内地についたぞ」

演目は長谷川仲の『瞼の母』

たずねてきた息子はならず者、母は

冷たく息子を追いかえす。

そして、障子のわずかなすきまから雪が・・・

「雪だ、あれ雪だ」

兵隊さんがざわめく。

「みたか雪だぞ」

一瞬で障子が閉められる。

「あ・・・」

そして母と娘の会話。

またわずかに開けた障子の奥に雪。

そして幕が降りる。あっけない雪の場面。

舞台裏では役者陣がタンカの兵隊さんの様子を

心配しながら

「さっ、いくぞぉ~」

幕が上がる。

「うわぁ~」

兵隊さんから歓声が上がる。

舞台一面に、雪がひろがる。

松に雪が積った背景。

石段にも雪が積る。

誰もいない舞台に雪が舞う。

―間―

雪が舞う、大量の白い紙吹雪

パラシュートで出来た紙吹雪だった

たくさんの兵隊さんがその雪をつかもうとする

部隊仲間も舞い散る雪をつかむ

「雪だぞ見えるか」

タンカの兵隊さんに掴んだ雪を握らせた。

「芝居を・・・」

舞台裏でもタンカの兵隊さんの容態の変化を

感じとった。

芝居が動き出す。

「お前さんに親はいるか、子供はいるか」

舞台の役者は刀を抜いた。

そして、幕が降りる。

タンカの兵隊さんの命も・・・。

役者陣が部隊の仲間に声をかける。

「舞台の上へ・・・」

タンカの兵隊さんを舞台に寝かせ

体に雪を降らせた。

そして、その舞台小屋は昭和21年引き上げ船が

迎えに来るまで続けられ

その島で生き残った7000人とともに役者陣は

本物の内地に戻ることが出来た。

というナレーションで終わった。

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